「芸術一家ですね」などというコメントをよく頂戴する。
私がグラフィックデザイナーで、家内がピアノ教室の主宰者で、娘2人が東京でダンサーとして活動しているので、そこだけ聞いた人がそういうイメージを描くらしい。
私とつきあいの古いみなさんはおわかりと思うが、さすがに「芸術一家」などという高尚なものは似合わない。強いて言えば「芸能一家」が正解だと思う。
それはさておき、普段いろいろな人と接する中で家族の話題になった時、前述のような話をすることになるのだが、相手がそこで「うちの娘も吹奏楽をやってましてね・・・」とか、「息子がサッカーが大好きでね・・・」などと言ってくれればそこから話題を広げられるが、時々「うちの家族なんか全然・・・」と、家族のことをあまりよく言わない人がいる。社交辞令的な言い方の時はわかるが、中にはひどくボロカスに言う人もいて、返答に困ることがある。
かつて新聞か何かで読んだことがあるが、日本人の「謙譲の美徳」を勘違いして、何でもかんでも控えめに(というか卑屈に)言ってしまう人が時々いるらしい。
これが反対に外国人(特に西洋人?)になると、「私は妻を愛しているし、妻も私によくしてくれる。子ども達もとてもいい子で私は家族を誇りに思っている。」ということを堂々と言う。素直に美しいと思う。
もしもそんな外国の方が、奥さんのことをボロカスに言う日本人に会ったら、おそらくこう言うだろう。
「Why?なぜそんなことを言う。奥さんを愛していないのか?じゃどうして結婚したんだ?」
もっとも今の世相では、控えめに言ってるのか、本気でそう思っているのかわからないところがあるが・・・汗。
かくいう私も人と話すとき、外人さんのように手放しで家族をほめることは恥ずかしくてしないが、さすがにボロカスにいうことはない。
うちの場合は、たまたま学生時代から組んでいたバンドのメンバーと結婚し、さらに結婚後すぐに「市民ミュージカル」に関わって、夫婦共々役者とスタッフを兼務することになり、その影響から娘達がダンサーになったという経緯があるので、それを正直に話すことになる。
もちろん普通に夫婦げんかもしてきたが、幸いというか、常にライブや舞台などで同じ方向を向いており、互いの本番を観てダメ出ししたり良かったところをほめ合うということが結構多かった。芸能的活動のお蔭だと思っている。
そして音楽仲間にはうちと似たような家庭も多い。
それはある意味特別な環境のように思われるかも知れないが、どんな家庭でも、他人に対してほめるということでなくても、家庭内でお互いを認め合い、ほめ合える家族が増えたら、昨今のような悲壮な事件もいくらかは減るのではないだろうかと思う。
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